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November 14, 2005

山あいのそば屋

福島県中通り地方でも、今週から最高気温が10℃を下回るようになりました。
早朝は2℃くらいまで下がる日も出始め、ひと雨ごとに寒くなってきています。
週末、ほぼ新潟との県境にある、友人のおそば屋さんを訪ねました。
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会津の山々、紅葉は終わりかけていました。

西会津町、西方街道(国道400号)は、すれ違うのがやっとの細い山道で
まわりは360度山に囲まれています。
時折、数軒の集落があり、道端では水路で大根を洗う姿がまれに見られますが
行きかう車もほとんどなく、小鳥の小さなさえずり以外、まったく物音のない、
「寒村」という言葉がぴったりくる場所です。
そんな、コンビニはもちろん、ガソリンスタンドも、病院もない、街道沿いに
名無しのおそば屋さんが一軒あります。
「黒沢(地名)の農家のそば屋」とだけ、見落としてしまうくらいに小さく、
手書きで書かれた木の板と、数本の「そば」ののぼり旗が目印。
冬の間は、豪雪で閉鎖されてしまう、期間限定のお店です。

そこは私の友人の実家で、ご主人は友人のおとうさん。
林業、きのこ栽培、そば打ち、水稲、炭焼き、そしてスキーのインストラクター。
なんでもこなしてしまう、スーパーおとうさんのお話です。

***

このあたりは、桐が有名で、昔は高く売れてね、1本50万、100万ってザラだった。
それが、きのこや野菜もそうだけど、海外から安く入ってきて売れなくなった。
そのうち、育てたものをここで、訪れた人たちに売るようになったんだけど、
飛び抜けてそばがよく売れるんで、そば屋をやることにして、
他にも、いろんなこと、やってるよ。
炭焼きなんて、本当に貧しい人がやるもんだ、って昔は思われていたけどね。

今の日本人は、みんな疲れているよね。
「もっと豊かに、もっと」って求めすぎていて、でも、その流れから抜けられなくて。
家族が健康で、素直に感情をぶつけあって、身の丈に合った暮らしができれば
それが本当の豊かさなんじゃないかなぁ。
この店、宣伝しないのに、わざわざ関東方面から、常連さんがよく来るよ。
会社の組織の中で、もがきながら働いている人なんかがね。
私にできるのは、そういう人たちに、喜んでもらえることをするだけだけど
それは、本当に幸せなことだと思うよ。
こういう時代の流れの中で、自分の役割って何だろう、って考えるからね。

***

会津の空は、一足早い冬のような暗さでした。
夏でさえ、日照時間がとても短いであろう、右も左も山肌の迫った山村で、
半年という長い冬を、豪雪と共に生きてきた人たち。
その暮らしはきっと、今でも慎ましやかで、たくましいものなんだと
まわりの風景を見ているだけで、想像することができました。
大きな大きな肉厚しいたけの炭火焼や、山にんじんの天ぷらと新そば。
いろりを囲んで、個室で食事ができる、小さいけれどあったかいお店でした。

・・・耶麻郡西会津町


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