April 30, 2006

だばい・だべした

福島弁の渦の中で、毎日働いています。(^^;
例えば、スーパーのパートさんや、スタンドのバイトくんには
イントネーションの福島弁らしさはあれど、
聞き取れない、理解できない言葉というのは、あまりありません。
同じ郡山に住む人でも、農家出身の方は方言がディープなのです。
そういう意味では、福島のネイティブな部分に入り込んで
私は貴重な体験をしているんだなぁと思います。

そうして驚いたことに、同僚の方たちは、職場の仕事の前後や休日に
自分のウチでの農作業をも、しっかりこなしているのです。
(つまりは兼業農家ということです)
皆さん、ぜい肉を持ち合わせていない、均整の取れた体型をし
休憩はきちんと取るものの、身体を使うことを惜しまない働き者。
だいたい、幼い頃から祖父母と同居し、大勢の人の中で育った為か
人と接する事に物おじしない、飾らない性格の方が多いので
私にとっては、毎日楽しく働けています。

***

4月は、ほとんど稲の芽だしまでの作業でした。
深さ数センチの苗床に、水分を含ませたモミを蒔き、覆土する。
数日温室に置いておくと、小さな白い、稲の始まりが次々顔を出しました。

来月は、養蚕や葉タバコの仕事が始まります。

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April 20, 2006

結い絶賛

「堀払い」という言葉、知らない人はたくさんいると思います。
私もいまの職場で体験して、はじめて知りました。

田植え前に、田んぼに引く水路の掃除を、
それに関わる人総出で行う、春の作業のことです。
幅1m、地面からの深さ2mほどの、汚泥の溜まったU字溝に入り
スコップでそれをかき出すという、とても体力のいる作業です。

私の職場では、総勢100人弱が数キロに渡って行いました。
雨合羽に長靴、ビニール手袋といういでたちで汚泥と格闘したのは
7割以上を占める、男性の皆さん。(女性は付近のゴミ拾いなど)

この同僚紳士たちの働きっぷりに、カンドーしてしまった私。
U字溝に次々とためらうことなく飛び降りて、あざやかなスコップ使いで
黙々と額に汗しながら働いていて、率先して難所を担っていました。
・・・なんてカッコイイんだべ!!(笑)。

近隣住民による労働力の共同作業を、「結い」と呼ぶ地域があるそうですが
この「堀払い」は、まさしくそれで、縁遠かった私にはとても新鮮に映りました。
お互いの信頼関係や、仕事に対する姿勢を垣間見たようで、
そんな気持ちを同僚に打ち明けると

「こんなこと、当たり前だべ。おらの町は、堀払いに出られない人からは
 きっちりお金徴収して、それを働いた後の飲み代にすんだかんね!」
と笑っていました。

***

郡山でも、ようやく桜が満開になろうとしています。
稲の種まきに追われる日々が続いています。

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March 15, 2006

Five minutes

突然ですが、このブログを読んで下さっているアナタさま。

アナタさまには、性別問わず「恋愛感情」ではなく「ひとりの人として」
何度会っても(もしくは一度会ったきりなのに)、
「また、この人に会いたい!」って思えるようなひと、いますか?

慣れ親しんだ友人、ではなく、「憧れ」や「信頼」を感じ
その人といると、何か自分のためになる、と思えるような、
尊敬できる人、というニュアンスで。

・・・・・・・・・・*・*・*・*・*・*・・・・・・・・・・

先日の炭焼き体験で出会ったとあるひとりの男性。
時間にしたら5分もないくらい、フタコト・ミコトしか会話しておらず
その内容は、特別道徳的なものでも、哲学的なものでもなかったのに
初対面にも関わらず、ワタシは尊敬の念を抱いてしまいました。
(マイダンナさんも同じ感情を抱いたと言っていました)

何がそんなに、って具体的に説明しようとすると難しいのですが・・・

会話というのは、たった5分でその人を現してしまうのかなぁ。
話し方、表情、態度、テンポ、とまぁ要素は確かにたくさん含んでいます。

でも5分でそう思わせたその人には、表面上で取り繕ったのではなくて、
内面からにじみ出るような人の豊かさ・深さが感じられたのでした。

明らかに、今のワタシには持てない「何か」をたくさん持ってる感じ。
いや、高級車とかじゃなくて(^^;・・・

他人の声に、感情的にならずに耳を傾けられる余裕 とか

長い間揺るぐことなく続けてきた、自分の信じるスタイル とか

自分の努力や実績をあえて語らないでいる謙虚さ とか

他人の間違いを、冷静に指摘できる強さ とか

その場しのぎの媚びを売らない自信 とか、そういうものを。


・・・いや、勝手にイメージしてるだけなんで、
こんなにカッコイイ人じゃなかったりして?

でも、まぁそういう人に出会うと、「もっと会いたい!」って思います。
「何か」を吸収したい、と思うからなのでしょうか。

ワタシにとっては、そういう身近な人への憧れって
生きて行くうえでのかなり直接的なパワーになります。
自分の具体的な目標を見るような気持ちなのです。

そうして、不思議なことに、そのお方もまた
ワタシよりもっと先にある理想像を求め、
その憧れに支えられていることを、何となく感じるのです。

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November 11, 2005

りんちゃん事件

朝から、どーーーーっと、疲れた事件がありました・・・。

10月28日の記事、肩のり猫の「りんちゃん」のことで。

今朝、職場のすぐ手前で、車にはねられた猫の死体を発見。
アクセルをゆるめ、じーっとその猫の特徴を観察。

●全体的に白。
●尾がチャコールグレーのまだら。
●顔にもグレーの模様がちらほら。

・・・・・!!!まさか!!!りんちゃん?!

あわててハザードを出して、車を道路の脇に寄せ、飛び出しました。
自分でも驚くほどに、脚が全速力。
なぜか、目がうるんできます。

果たして・・・猫の顔は、微妙に茶色が入っていました。

同僚の車が次々と、後ろから顔を出しながら近づいてきます。
「りんちゃんじゃないよねっ?!」
「うん、ちがう・・・」呆然と道端で肩を落として、ほっとする私がいました。
駆け出したその数秒の間に、様々な思いが頭を巡ったのですが
「どうしてもっと可愛がってやれなかったんだろう」
なんていう、後悔の気持ちがあったのです。

仕事中に背中に乗られて、正直「うざい」と思うこともしばしば、
そんな一匹の猫に、してやられました・・・。
りんちゃんは今日も、のほほんと温室でうたた寝しています。

「うざい」と「可愛い」。
自分にとって、「悪い」と「良い」を同時に感じさせてくれる、
そんな対象に、最近はとても惹かれます。
猫はともかく、特にヒトの「いじわるしたくなる気分」や
「同じようなことを繰り返してしまうクセ」といった、どうしようもないことにこそ
特別な意味があるように思える時があります。
・・・簡単に言うと、ナウシカ(宮崎アニメの主人公)のようなパーフェクトなヒトより
千尋(同)のように危ういヒトの方が、考えさせられ、また、成長させられることは
多い感じがする、とでも言いましょうか。(^^;

動物もヒトも、自然も、仕事も、都会も、田舎も、
シンプルな要素ではなくて、複雑だからおもしろいなぁと思うのです。

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October 31, 2005

雪虫とぶ

先週から週明けにかけて、とても冷え込んでいます。
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浄土平周辺の山頂も冠雪したようですね。

***

11月になろうとしていますが、解雇を免れました。
石油が値上がりし、ビニールハウスの暖房費もかなり厳しい中で
出荷要請があり、冬季も大葉の栽培を継続することになったそうで、
置いて頂けることになりました。(^^)
ただし、収穫量は半減するので、就業時間もぐっと短くなり
厳冬季には、毎日の出勤はなくなりそうです。
「農業は、工場じゃあないからね。」と、おとうさん(社長)は言いました。

***

そうだよなぁ・・・。と思う反面、もっと働きたいなぁ・・・。と思う私もいます。
でも。いや、いや、まて。(^^;
食事も睡眠もとれないで、めまぐるしく働く毎日は、10年経験しました。
「こんなふうに息をつく暇もない毎日の、行く先って何だろう?」
「40、50になった時、料理のできない女にはなりたくないなぁ」
そんなふうに思っていたら、福島の空気が同調してくれて(と思い込んでいます)。
毎日を仕事に忙殺されなければ、生きていけない状況もあるけれど、
いま、そうでないなら。
目の前のことや、過ぎていく時間、
「小さな何かの積み重ね方法」を今までとは、変えたいんだよなぁ・・・。

***

東白川郡では、今季初めて雪虫を見かけました。
冷たい秋風が、駆け足で山の葉を落としていっています。

雪虫とは?・・・北海道放送のお天気情報より

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September 21, 2005

同僚の中の日本

今日は、私と同期に就職した、同僚(男性)のおはなしです。

フィリピン人なので、仮名でアキノさん、としておきます。

36歳、明るく真面目で、働き者の好青年です。

彼は数年前より「オイスカ(OISCA)」の研修生として日本にやってきました。

OISCAとは、

The Organization for Industrial, Spiritual and Caltural Advancement-International

の略で、

外務省・農林水産省・経済産業省・厚生労働省が主務を行っている財団法人。

大地や自然に関わりながら、

産業(Industry)・精神(Spirit)・文化(Culture)のあり方を見直し、

人々が、生まれ育った環境や価値観が異なってもお互いを認め合い、

争うことなく協力する世界を目指すために、何かしよう!というもの。

主に、日本をはじめとする世界各地で、研修プロジェクトを持ち、

農業や語学を通した人材育成や、植林活動などを行っています。

さて、アキノさんは、大阪や姫路、徳島などで、農業研修を受け

今は、私と同じ福島県のとある大葉栽培のハウスで働いています。

このアキノさん、なんともひたむきで真面目なのです。

朝は毎日、就業時間の30分以上前から、既に仕事を始めています。

カンカン照りの日も、雨の日も、マウンテンバイクを40分走らせての通勤。

仕事中は、おとうさん(社長)や私たちパートの指示を、

「ハイ」ととても素直に耳を傾け、だらけずに働きます。

かなり暑かった夏の日も、汗まみれになりながら

力仕事を率先してやり、パート女性たちに配慮します。

農家から頂きモノの、リンゴ(推定10キロ)、ニワトリ(生きてます(^^;)、

その背中の古びたリュックに入れて帰ります。「ダイジョブネ!」。

お弁当の後は、食べ終わった弁当箱をきれいに洗います。

就業後は「オツカレサマデシタ。ソレデハ、オサキニ、シツレイイタシマス。」と

帽子を脱いで一礼します。

***

彼は、日本で色々な事をたくさん学んだと言いますが

彼の中に、きれいな日本を見せてもらっています。

今日は、こんなこと、言ってました。

言葉が通じなくて辛かったり、怒られたりした時も、

「ツギノアサ、カナラズ、エガオ!コレハ、ワスレナイ、デス」。


OISCA(オイスカ・ホームページ)

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September 18, 2005

ドク・ヅク・ヒト・タチ

「あ~のクソババァ!ったく!」・・・などと他人を陰で毒づく人。

最近気づいたのですが、私、こういう人、キライではないのです。

いや、毒づいてばかりの人、じゃなくて。

社会性を持って生活していて、人並みに働き、笑い、という状況がある、

フツーの人、という前提条件で、ですが。

私は、この「毒づく」という行為が、小心者ゆえ、なかなかできないタチです。

悪口が、「コトダマ」のような意識を持って、本人に何となく伝染して

関係が悪化し、自分が更に不快になるのが怖い、という感じ。

だから、不快な行為をされても、都合の良い理由を自分で付けて

相手を恨まない考え方がクセのように染み付いてしまっています。

さて、そんな性格を知られているのか、

いつのまにか「毒づき聞き役」になってしまうことが多い私。

でも、毒づく人たちを好意的に思っている自分に気が付きました。

・・・なんで?(^^;

おそらく「分かりやすい」ということかな、と。

感情を表に出す素直な人が多いので、自分をさらけ出してくれていることに

安心するのかもしれません。

そして、毒づく分だけ、逆に親しみを感じた相手には、

裏切ったりしない愛情の深さのようなものを共通して感じるのです。

(実はたまっちゃってる)私の毒も吐いてもらっている気がしたり、

私のような八方美人的性格より、ずっと信頼できるように思えて

毒づく友人・・・持ってます。(^^;

悪口を推奨するわけでは決してありませんが

悪口を言うことを、妙に毛嫌いするようなヒトに比べ

シガラミみたいな「人間臭さ」があって、憎めないんですよねぇ。

方言での毒づきって、かなり引いちゃう時もあるんですが。(^^;

***

何だか、このブログで「田舎っていいですよ!」と、褒めることばかりを

書いてきたような気がするので、今日は違う視点から。と思ったのに

結局、褒めちゃっているのかも?

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September 08, 2005

お宅訪問

台風一過で今日の青空はとてもきれいでした。

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黄金色の田んぼが増えてきています。(通勤途中にて)

***

「ウチに遊びに来て」。

喫茶店やレストランで人と話すより、お宅に招かれることが増えました。

ざっくばらんに人を招き入れる、そういう方が多いような気がします。

そして、突然伺うことになっても、居間はきれいに片付いている、

風通しの良い家が多いような気がします。

もう何度、おみやげに野菜や庭の花を頂いたのか、数え切れません。

あとどのくらいで、私もそういう人になれるのかなぁ。

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September 01, 2005

開拓したひとたち

職場の女性(50代後半)に伺った、おはなしです。(彼女の語り口でどうぞ♪)

***

私の父は、郡山(福島県中心部)に生まれて、東京に出て大工やってたのね。

戦争が終わって、東京が焼けちゃって、福島に帰ってきたの。

そこで母と出会って結婚して、そして、

田村町のあたり(郡山市東部・小山と田畑が多い)を夫婦ふたりきりで開拓したんだよ。

開拓って言ったって、今みたいに「ブル(ドーザー)」なんてないばい?

まず山の木をひとつひとつ切り倒して、それから唐鍬(とうぐわ)で耕すんだわね。

木の根っこなんて腐るまでは3年くらいかかるから、それが大変だったみたいね。

私は6人兄弟の一番上だったけど、畑の手伝いの他に、妹・弟たちの世話、

食事作りまで全部やってきたから、自分が大人になっても、子育てなんて何でもなかったよ。

とにかく我慢することだけは、覚えたしね。一番上だから。

お祭りなんてやるようになったのはかなり後のことで、

楽しみは山に行って栗やあけびを採って食べること、それぐらいだね。

両親も子供らも一緒になって畑をやって、何でもよく採れたよ。

昔は野菜が病気になるなんてこと、不思議と無かったんだわね。

食べられなかったものなんて、柿ぐらいかなぁ。柿の木は寒冷地には無くてね。

私の父は、本を読むのがすごく好きな人で、独学で勉強してたみたい。

当時は砂糖なんて手に入らなかったけど、父は養蜂をしてハチミツが食べられたの。

私は幼くてよく分からなかったから、「貧しいからハチミツなんだ」と思ってて

大きくなって東京に行った時、友達にそれを話したら

「ハチミツ?!あんたそれ、天皇陛下ぐらいしか食べてないよ!」って言われたっけ。

私たち子供ら6人とも、誰も亡くならず元気に育ったのは、父のおかげなんだよねぇ。

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August 26, 2005

長靴をはいた心理

愛車クロミニには、ほとんど何も乗せておらず、

車内はスッキリ・サッパリしている方だと思うのですが、

1つだけ決して忘れない、愛着アイテムがあります。

それは・・・長靴。

年中無休で一緒にドライブしております。

仕事、庭いじり、雪かきなど、私を汚れから守ってくれる頼もしいヤツなのです。

都市部で生活していた頃は、決して使うことのなかったこのアイテムを

私は福島での生活を謳歌するかのごとく、愛用しています。

最近では、色の剥げ具合やゴムの擦れ具合がイイ感じに古びてきて、

ちょっとした買い物など、長靴のまま畑から運転して店内を歩いたりすることに

おかしな優越感を感じてしまっているのです。

「ふふ・・・誰が見てもこれで、私もイッパシの福島県人だわ・・・」みたいな。(^^;

これって、勝手に解釈すると、田舎から東京に出たワカモノが

原宿あたりで、いかにも的ファッションを買い、コンビニの整髪料で髪を整え

「いざ!」って街に出る時の気持ちと同じではないでしょうか?

つまり、その土地のネイティブへの憧れ。

憧れを忘れた頃、初めてネイティブに近くなっているのかも知れません。

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